28. ロード・オブ・ザ・リング 1

劇場前の 映画『指輪物語

新年あけまして、おめでとうございますm(_ _)m
前から気になっていた『ロード・オブ・ザ・リング -スペシャル・エクステンデッド・エディション』。ポイントは、劇場版と「コレクターズ・エディション」にはない30分の未公開映像、それとお値段とのバランスです(コレ高い)。でも大満足でした。
内容紹介をAmazonから抜粋します。

Amazon.co.jp
   J.R.R.トールキン原作の『指輪物語』の映画化。冥王サウロンが失ったのは、世界を滅ぼす邪悪な指輪。それを手にしたフロドが、指輪を破壊するために「滅びの亀裂」と呼ばれる火口へと旅立つ冒険物語。  〜(略


内容紹介
20世紀最高の文学として知られるJ.R.R.トールキン原作による「指輪物語」の完全映画化!
シリーズ3部作の記念すべき第一作「ロード・オブ・ザ・リング」を高画質・高音質で楽しむための、スペシャル・エクステンデッド・エディションDVD発売!
「コレクターズ・エディション」をはるかに超える、スペシャル・エクステンデッド・エディションのみ収録の映像特典が満載(6時間以上)!

ロード・オブ・ザ・リング ― コレクターズ・エディション [DVD]
有名作品なので一般的な内容はおいといて、約3時間半の本作バージョン「旅の仲間」の製作経緯をメイキングからご紹介します。まず、撮影されたラッシュ(素材映像)から、脚本に基づき「4時間半バージョン」が編集されたそう(これも見たい(笑))。それから、ピーター・ジャクソン監督の全面的な見直しにより、「指輪とフロド」に焦点をあてた「3時間半バージョン」ができました(←本作)。さらに、劇場公開のために泣く泣く「3時間バージョン」にしたそうです。だから、本作は劇場版前にフィックスしたバージョンとなる。
僕は原作ファンですが、劇場版の印象は「フロドばっかりやン」というのと、やはり「バタバタしてる」ということ。本作の特徴は、原作ファンには焦がれていたエピソードが入っており、一方で原作読んでない人でも非常にわかりやすくなっていることです。劇場版より原作に忠実で、その魅力的なエッセンスが描かれてます。
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ちなみに、3本パックになった「トリロジー」が「王の帰還」と同時期の2月に発売されるもよう。エムリンクmLinkでは2本目、3本目と順じレビューします。

原作 - 劇場映画 - 本作【ややネタバレ】

で、気になる追加の30分シーンですが、①「原作の長文をわかりやすくまとめた」というシーンと、②「ハズしたくな〜い原作エピソード」に大別されます。興がそがれないよう2点だけ。。
冒頭のプロローグ、そして、ビルボ・バギンズによる「ホビットを語る」の映像は①で、わかりやすさがありとてもいい感じです。前者は、古代の人間の王イシルドゥア(アラゴルンの先祖)と冥王サウロンとの戦いで指輪が流浪する経緯。これは劇場よりゆったりした感じ。後者は原作の最初で最大の難関ともいえる(笑)、ホビットの生態、習慣を軽くまとめたもの。シャイア(ホビット庄)の美しい自然の映像もみれてとても楽しいです。
ところで、原作『指輪物語』には前作があります、『ホビットの冒険』。ビルボ、ガンダルフ、および小人(ドワーフ)の物語。こちらはさすがに、子どもの頃一度読んだきりですが、本作にも出るドラゴン山の話とか石になったトロルの話、そして指輪が発見される話ですね。
ホビットの冒険 オリジナル版
さてもうひとつ、②のパターンでは森のエルフの都ロスロリアンで、女王ガラドリエルが旅の仲間の一人一人に贈り物を手渡すシーン。原作ファンは「ヤッター♪」です。僕が原作で好きなのは、ドワーフギムリガラドリエルにメロメロになったり、さらにエルフのレゴラスと友情を深めていくモチーフです。このへんの伏線となる描写ですね。
ケルツ
さてさて、では逆に原作を超えているのでは? と思う要素はなんでしょうか。まずは音楽。原作にはないもんね。同じケルト要素でつながりあるエンヤの歌も嬉しい(サビがエルフ語って気合入ってるな)。次に、CG。大規模戦争、クリーチャーは最高。監督はテクノロジーについて「80年代に映画化したら失敗してた」とのこと。
そして、俳優陣が本当によかった。レゴラス役のオーランド・ブルームは大出世。僕の一番は、アラゴルン役のヴィゴ・モーテンセン。本作では、アラゴルンとボロミアの葛藤も追加されており、エルフ寄りのアラゴルンが人間王としての自覚を持ち、絶望の中「自分のやるべき事」を見出す過程が明快になってます。制作スタッフ間でも、原作全部は無理だから人物描写に力点を置くというのがあったそう(メイキングより)。本作見て、このへんは原作よりもイイと思いました。

J. R. R.トールキンについて

本作のドキュメント映像で整理もされたし、一本目なので原作者について少々。
トールキンは英国オックスフォード大学の言語学者であったときに、『指輪物語』を13年かけて執筆しました。しかし、原作の特徴は、その深み、背景設定なのですが、それには次の経緯があります。彼は、第一次世界大戦に服役中(!)から、言語学的興味でエルフ語を作っていました。(おそらくケルト語やアイルランド地方言語を参考とした)オリジナル言語です。それから、オリジナルの詩歌、伝承作成と発展しますが、一方で、常々「イギリス固有の神話がない」ことを嘆いておりました。(「アーサー王」はフランス伝承を集めたもの)そこで、エルフも絡めてオリジナルの神話も作成します。これらもろもろが『ホビットの冒険』、『指輪物語』に結実する壮大な背景資料となります。これらは、彼の死後に息子の編纂で出版されました。
新版 シルマリルの物語
シルマリルの物語』(シルマリルリオン)。
えー・・・。二度は読まないだろうなと思う怪作です。まさに聖書を読んでる感じのもの。神の声をモチーフにした創世記は、「なるほど」と思いましたが。。もともと人に見せるつもりのなかった設定メモ(非常に緻密な虚構の伝承)を集めたものらしい。
ちなみに、アルウェン&アラゴルンの元祖、ルシアン(エルフ♀)&ベレン(人間♂)の悲恋物語もどっかにあったはず。とにかく、お話がいっぱい。
さて、トールキンの発言で気になることを少し。『指輪物語』は、今日的ファンタジーの源流であるゆえに、出版当初「寓意」とみられることが少なからずあったそう。例えば、「指輪=核エネルギー」とか「サウロンヒトラー」とか。で、彼はそれを完全に否定します。「寓意」とは、作者が現実を反映して意図的にメタファーを施すもの。『指輪物語』にそれはなく、ただし読者それぞれが持つ「解釈」にゆだねるものだと。


それぞれの「解釈」によって多くの人が、『指輪物語』のテーマに普遍性を感じるのだと思います。あくまで僕の解釈ですが、人の悪意を容易に引き出すアイテムは今も問題です。身近なとこで、ネット社会。ネットでのコミュニケーションは匿名性、誤解も含めて容易に人の悪意を増幅します。「指輪」のような力がある。
それでも自分のやる事を見出し、希望をもち続けることというのが、本作にも共通するメッセージなんだろうな。優等生的意見でナンですが、「励みとなる物語」の一本目はこんなとこで。

おまけ ”旅の仲間”たち(ドキュメンタリー)

気分をかえてお気楽に。
特典映像の一部で、役者達のインタビューがすっごく楽しいです。
撮影でニュージーランドに集まる際、ビリー・ボイドピピン)とオーランド・ブルームレゴラス)は、英国ヒースロー空港で待ち合わせて一緒にくるよう指示されたそう。お互い初顔合わせなのに、「あいつ、エルフ族っぽいな・・・」「あの小柄な人・・・ホビット?」とすぐ分かったそうです(笑)。
イライジャ・ウッド(フロド)はじめホビット4人組は、撮影前から共同生活してましたが、ある時期、イアン・マッケランガンダルフ)と同じトレーラになってしまいます。音楽の好みが違うことでやりとりあったとか・・・。
男ばかりの撮影現場なので、リヴ・タイラー(アルウェン)がたまにくるのを、み〜んなが楽しみにしていたりだとか。
特殊メイクのない役者さんみるだけでも嬉しいですよ(笑)。

OutOfNumber

おあぞ

今年一年間おつかれさまでした<(_ _)>
エムリンクmLinkを来年もよろしくお願いします。

今日の日記はいくつかトピックごとで。。。

来年のレビュータイトル

ロード・オブ・ザ・リング』(スペシャル〜えでぃしょん)をやるつもりです。。ンが! 三本目は、まだ発売されてないみたいなので、間をあけながらやります。
ちなみに、最近『仁義なき戦い』にはまってます(笑)。最初のシリーズ。やばいなぁ・・・。ごっちゃにならぬよう。。

スカイプ

ビックカメラでヘッドアップかって、ソフトDLして、ちょうど今やってます。英語サイトをひィひィみてスカイプクレジットも購入し、「お前は(手続きに)成功した!」「15分かからない!」といわれて、なかなか固定電話にかけれません(TT)

お友達ブログ第2弾

僕にとって唯一無二のテクノロジーサーファー、yoggyさん。
エムリンクmLinkの直接的なきっかけとなった人。
http://www.sabamiso.net/yoggy/tdiary/
いつも教えてもらって、ありがとうございます。パケット フィルタリングそのまま使わせていただきます(笑)。ついていきますよ〜。

27. ALI

アリ [DVD]

アリ [DVD]

ボンバイエ元祖

最近まで「ボンバイエ!」と聞くと、年末! という感じしたもんですが、今年はないみたいですね。ちなみに、「ボンバイエ」の意味は、正確には「ボマ イェ(Boma ye)」で直訳すると「彼を殺せ」なんだそうです。
http://www.melma.com/mag/32/m00012532/a00000054.html
さて、この映画はその元祖、ヘビー級ボクサー モハメド・アリの半生を描いたものです。内容紹介は、タイトル画像のリンク先にあります。
主演のウィル・スミスがとてもいい感じ。もともと僕は、この俳優あまり好きではなかった。(気軽に)世界を救う!って役だったり、ステレオタイプアメリカンヒーローだったり。。ところが、本作では実在の人物を実にシリアスに演じています。すっかりファンになりました(笑)。
マルコムX [DVD]
本作はアメリカ60〜70年代の社会状況をみせていて、ちょっと社会派タッチの面あります。アリは「ブラック・ムスリム」(黒人イスラム教グループ)に属していて、政治的なモチベーションもあったもよう。このへん『マルコムX』と合わせてみると分かりやすいのかしら。

コラテラルのコヨーテ 【ネタバレ】

本作みるまでにステップがありました。先に『コラテラル』を見たんです。こちらは、トム・クルーズ主演のクライム・サスペンス。トム様ファンにとっては、「トム様、大・大活躍」を期待してはいけない、渋〜い佳作です。
簡単な内容紹介。アメリカ NY、タクシードライバーのマックスは、いつものように都会の深夜に働きます、たまたま乗せたお客が、実は殺し屋のヴィンセント(トム・クルーズ)。脅かされたマックスは、一晩の暗殺ノルマをこなそうとするヴィンセントに否応なく巻き込まれるのですが…
水漏れ修理collateral
コラテラルとは 間違った時に、間違った場所に偶然居合わせてしまうこと=巻きぞえ」とのこと。
ちなみに、トムの銀髪は、『ジャッカル』のリチャード・ギアをすごく意識してるように思うけどどうなんでしょ。
ジャッカル デラックス版 [DVD]
コラテラル』では、物語の中盤に、都会の深夜に場違いなコヨーテが出てくるシーンがあります。セリフはなく、音楽だけで、映像はコヨーテが横断歩道をトボトボ歩き、タクシーをとめたマックスとヴィンセントがしばし、惚けてそれをながめるというもの。このシーンは、二人の心理の転機を描いており、たった1分ほどの映像で、物語り全体の転機と、テーマをも象徴しています。
わずかな間でいろんな意味がある、セリフでの説明はない(必要ない)。これはいわば「抽出された映像」ともいうもので、非常に感じ入ったのでした。
このようなシーンを期待して、同じマイケル・マン監督の作品である本作『ALI』をみたんです。そしたら…、あったんですねェ。。以降では、本作での「抽出された映像」シーンをみていきます。

ALIの壁画 【ネタバレ】

ベトナム戦争への徴兵拒否により、数年のブランクを余儀なくされたアリの復帰戦は、アフリカ ザイールのキンシャサでした。当時のヘビー級世界チャンピオン ジョージ・フォアマンとのこの対戦は、後に「キンシャサの奇跡」と呼ばれます。
アメリカでの黒人差別に対する怒り、また、久しぶりの試合、若い強敵への不安、そんなこんなを背負ったアリは、ルーツであるアフリカにおりたち、意外なものを目にします。それは彼を英雄視して、「アリ ボンバイエ!」と熱狂的に叫ぶ人々。さらに目にします、アメリカよりもずっと貧しい人々の暮らしを。
さて、問題の「抽出された映像」は、以下のようなものです。
ある時、ランニングに出かけたアリは、彼についてくるキンシャサの子供達に導かれるように横道にそれます。視界を流れる貧しい家屋。裏道に横たわるこわれた壁、落書きがあります。「アリ! ボンバイエ!」(「アリ! 奴をやっつけろ!」)やがて、貧しい市場に到着。熱狂的な人だかりがあります。ある家屋の前で皆何かを眺め、叫んでいる。「アリ! ボンバイエ!」 人々の頭越しにそれが少しづつあらわれる、家の外壁になにかがかかれているよう。やはり壁画です。真中に、英雄として大きく描かれたアリの姿。赤いグローブと白いトランクス。「アリ! ボンバイエ!」 対戦相手はいません。周りにかかれているのは…、戦闘機、戦車。戦争のモチーフ。「アリ! ボンバイエ!」 アリ(ウィル・スミス)は、すわった目でそれを眺めている。表情はない。つかみとれない。。熱狂する周りの人々。。。
Muhammad Ali
本作は、アリの半生を、臨場感ある試合や、アメリカ社会面おりまぜて様々にみせてくれますが、この「キンシャサの奇跡」前をピークに、一気に収束させていく名作だと思います。

「ボンバイエ」ってのは、決して「年末大騒ぎ! ハリテくらって元気に年越そう!」という意味ではなかったのですね〜…。気になる方、オススメの映画です。

26. ファイナルファンタジーⅦ

PS one Books ファイナルファンタジーVIIインターナショナル

PS one Books ファイナルファンタジーVIIインターナショナル

グローバル RPG

ドラゴンクエストⅧ』面白そうですね。お店のぞいたら、中古しばらく値下がりしなさそうだ。というわけで、今回は『ファイナルファンタジーⅦ』(笑)。
ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
タイトルの画像は、インターナショナル版という、海外版の日本語版です(ややこしい)。これしかなかった。リンク先に解説があります。
簡単な内容紹介。どこかの世界、魔コウ炉という発電所みたいなものがボコボコある近代的な街で、主人公クラウドは魔コウエネルギー利用に反対するレジスタンス活動に巻き込まれます。序盤のこの街では、サイバーパンクっぽいSF世界の中で、ハードなイベントをこなしますが、街をでると一転、チョコボが似合うのどかなフィールドがひろがります。それからはオーソドックスなRPGが楽しめるという、なんとも意外性のあるゲーム。
チョコボコレクション
当時とても売れましたよね。ファミ通で某漫画家が「確かに時代のグルーヴ感を得た」ゲームとか言ってた気がする。
ファイナルファンタジーシリーズは大好きなんですが、メジャー感があるわりに、シナリオが「病んどるな〜」と気になることが多い中、本作は(たぶん)ガイア論を軸にわりとまとまってて(でもないかな)、とにかく! 遊びやすいです。今年やり直した時も、エンディングにホっとできたし、時間の無駄とは思わない(思いたくない)。
ふゥ。。今回、歯切れ悪いな。

リンクあれこれ

本作でたとき、ベルセルクに「元祖! 巨剣」のコピーがでてた(笑)。主人公クラウドの大きな剣は、こちらからでしょう。だけど、「巨剣」ってそもそもゲーム的というか似合うというか、本作以降ゲームの剣大きくなったよ。
ベルセルク (26) (Jets comics) id:mLink:20041124
ところで、ガイア論はおそらく「地球を総合的な一個の生命体としてみる」くらいの意味だと思うのですが、それでも本作と、例の映画はこの影響が強いみたい。
ファイナルファンタジー [DVD]
ガイア論の例では前にNHKで、「例え人類が核で滅亡しても、地球の植物は再生します。森は復活します。」とメガネ研究者が嬉々として語ってました。つまり、人間を範疇外に考えるのが基本で、決して「この星を僕らで救おう!」というのではないみたいです(当たり前か…)。ちなみに『寄生獣』では、ガイア論自体に少し否定的でした。いずれにせよ、極端な環境論でちょと古臭い。
寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス) id:mLink:20041219
と、つっこみどころはあるものの、最近でも関連商品がでるこの「Ⅶ」。シリーズ中の他作品の信者との論争はあるでしょうが、今となっては「この頃のがよかったよなぁ」という思い入れある人やはり多いのでは。
ASIN:B0002FQATS
いくつか魅力をみていきます。

確かにあった新しい演出 【ネタバレ】

FF7』は、いろんな面で過渡期の作品であったと思います。
グラフィック面では、PS初のFF、3DCGを全面的に採用ということで、ムービーも用いました。だけど、ムービーの質はバラツキがあり、今のような統一感はまるでなかった。次に、上記のように序盤イベント主体のRPGかと思いきや、フィールドでのレベルあげなどオーソドックスな面も残ってました。さらに、アイテムのマテリアシステムは、今の「合成当たり前」的な複雑化のハシリでもあり、それでいてまださほど難解なシステムではなかった。
つまり、本作は「新しいことをやらねばならない」という流れをつくりつつ、昔のゲームっぽさもまだまだ残していた。優れているのは、そのバランスがなんとか保たれていることだと思います。
最後に、これは未だ他に追いつかれてないと僕が思う新しい演出について。
本作の主人公クラウドは、自らの記憶に曖昧な存在です。ゲーム中、彼が語る記憶のエピソード(ある村)に、プレイヤーは何度もつき合わされます。そして、それは修正され、やがて完全に「彼の記憶は違う(刷り込み)」と判明する。その見せ方は、画面上の街や他のキャラが同一で、そこにいたはずの主人公だけ違うという画面構成を使ったもの。しかも、プレイヤーは「彼の間違った記憶」を実際にプレイしているから、「あれは何だったんだ」という驚きと喪失感がひとしおなのです。
記憶をテーマにした映画はもちろん今もありますが、本作のこの演出ほどに驚き、そして不思議な気持ちにさせられた体験は、僕にはありません。
メメント [DVD]
当時は、なによりこうした演出方が他のゲームに影響を与えるだろうと興奮したものですが、なぜかそうはならなかった…。
FFⅦ』の魅力とはつまるところ、未だひきずっているクラウドの「間違った記憶」、その踏み込めない影の領域に、何かを見出そうと惹かれているということなのかもしれません。

25. 普通の人々

普通の人々 [DVD]

普通の人々 [DVD]

普通かそうでないか

クリスマスキャロルが聴こえるころ、ちょっとローな気分に浸りませんか(笑)。この映画は、パッヘルベルのカノンにのって、ナーバスな思春期の青年と、彼の家族を描くものです。内容紹介を、Amazonから。

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
『バガー・ヴァンスの伝説』のR・レッドフォードの初監督作品にして、アカデミー賞4部門を受賞した人間ドラマ。幸せな日常を送っていた家族が、長男の事故死と次男の自殺未遂という不幸によって、次第に愛情と信頼がギクシャクした空気に変わっていく。

内容(「Oricon GE」データベースより)
愛すること、生きることの難しさを、崩壊していく家庭の中に描いたロバート・レッドフォード初監督作品。出演はドナルド・サザーランド、メリー・タイラー・ムーアほか。

一昔前の映画なので、よくない例えかとは思いつつ、『17歳のカルテ』の後の物語というとわかりやすいかもしれません。主人公の青年が、精神病院を退院した後のお話。リストカット、自殺願望、心の閉塞。決してファッションじゃなく、若者の普遍的な感情(と起因する家族や周り)をすでに描いています。「普通」にやっていくのが難しい。
17歳のカルテ コレクターズ・エディション [DVD]
本作は、『17歳のカルテ』よりずっと入り込めるし、胸にくる映画だと思います。ウィノナ・ライダーはウサンクサクなっちゃいましたね。
カッコーの巣の上で [DVD]
ちなみに、精神病院を扱った映画で『カッコーの巣の上で』にも一応リンク。こちらはさらに往年の名作ですが、ヘビーです。

名手ロバート・レッドフォード監督

ロバート・レッドフォードといえば、名優。なんでしょうけど、出演作で心に残ってるものは、実はあまり知らないんです。むしろ、ロバート・レッドフォード監督作にハズレなし! というのは毎回思うこと。いくつかリンクを。
リバー・ランズ・スルー・イット [DVD]
『リバー・ランズ・スルー・イット』。ブラッド・ピット出演。自然と人間の美しさを巧みに映像化しています。そして人間が堕落していく醜さと、一方で変わらぬままの自然の美しい様に考えさせられます。リンク先の内容紹介がとてもわかりやすいです。見た後に「いい映画見た〜」と充実できます。
クイズ・ショウ [DVD]
次に、『クイズ・ショウ』。こちらはサスペンス性もある、一大スキャンダル映画。登場人物の表情なんかにすごい緊張感あって一気に楽しめます。ちょっと地味な雰囲気ですが、実話が基なだけにリアルで面白い。こちらも、画像のリンク先の解説が丁寧でいいですね。「なんか面白い映画ないの」という人、未見であればぜひ。


この監督は、よくいわれると思いますが「人間ドラマ」の名手です。自分、そういうの好みなので特に好きというのもあります。
加えて、映画らしさ、映像的な演出をどの作品でも追及してるように思います。斬新というのでは決してないのですが、その分逆に質実な作品作りに妥協がない感じ。あともう一つは、原作への目のつけどころ、選ぶものがやっぱり面白いよなぁ。

今だからなのか変わらぬことか 【ややネタバレ】

さて、本作に戻りますが、『普通の人々』は初監督作品です。
当時としては、非常に地味なテーマとみられたんじゃないかしら。実際、本作の中盤までは、見る人によっては退屈するほど淡々とした、抑制のきいた演出です。だけど、心を強く強く揺さぶられる展開が待っている。いつ見ても、動悸が早まり、こちらが胸が苦しくなる。
内容的に、今日的なテーマを扱ってる部分もあってちょっと不謹慎かとも思いますが、冷静にみると「すごく映画的だな」と迫力を感じます。なかなか言葉にならない感情を、映像で、音楽で表現されてます。これはちょっと、見てもらわないと伝わらない文章で申しわけありませんが。。
ところで、実は近くのツタヤで、本作が特集コーナーにありました。「今だからこそ よくわかる…」とかいうポップ付きで。ブログ書こうとしている身では「あいたたた」とか思ったんですが、でも、その通りなんです(笑)。
またちょと小難しい話ですが、ナーバスな若者を軸に家族が崩壊していく様は、今日的な状況ではとてもリアルです。郊外に住む中産階級が、なにかの拍子にもろく、真実が露になると継続できないというのは、本作では精神面でのことですが、現実には経済面も加えて進行しています。
本作の不安定な主人公には、善良な精神科医、好きになってくれる女性、手をさしのべる友人、そして父親と、恵まれてます。しかし、それでもこんなに苦労している。いったい何に苦労するのか? 向き合う人に対して、本音を吐き出すことに。
普通に学校を卒業すること、就職すること、結婚すること、家庭を築くことに疑問を禁じえない、または難しさを感じる人に、本作のセラピー描写に触れていただければ、とも思います。僕は、ちょっと気楽になりましたよ。

OutOfNumber

闇鍋? バーにて

年の瀬は ランラン♪ ラララン♪ 飲むノムの


といいつつ、忘年会(おそらく)終了。おつかれでしたー


ブログをはじめたら、友人のブログに行き当たった。
http://117.openair.ath.cx/
うさぎの たまちゃん が、かわい〜です。

今日はスカイプの話題になってますな。
こちらは、年配のオジサン達から二回その話題がでて、なんとなくガッカリ。
でも、もし普及しちゃったら、またいろいろ状況がかわるから、皆気にして注目してるんでしょうね。
冬休みにやろうっと。日本円対応するまでは、電話にかけるの面倒くさいのかも。

『寄生獣』 ブログリンク

「猿虎日記」 『ヒストリエ』より

エウメネスは、デビルマン同様、人間と怪物の両義性を持った存在である。
…
本作で岩明は、サルトルが『トロイアの女たち』で提起した「ヨーロッパとアジア」の「差異」を問題にしつつ、さらに、「残虐」とは、「暴力」とは、何か、そして、「人間」とは何か、というやはりデビルマン的テーマを追求している。…

id:sarutora:20041220
「猿虎日記」では哲学研究者の視点で、『ヒストリエ』を人間と怪物の両義性でみています。こちらもぜひご覧下さい。