19. バイオハザード

biohazard 「メモリーカード59」付

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へっぽこマーケ

本作は、PS版『バイオハザード』をゲームキューブ(GC)でリメイクした作品です。「本当はここまでやりたかったんだ!」と伝わってくるような新ギミックが満載。かなり楽しめます(走るゾンビ好き)。物語は同じなのであまり期待しちゃいけないけど、雰囲気は最高。
一通りの内容紹介は、画像のリンク先をご覧いただければと思います。
難易度はPS版をクリアした人向け。かつて「アタシ、あの犬が窓から出てくるシーンで怖くてできないの〜♪」と言ってた人には難しいです。
さて、2ちゃんねるで「神ゲー」といわれた本作。これまでの関連シリーズ乱作からくる、事前の期待ナシナシ感をさっぴいても、いいゲームです。それとも結局、1が一番まとまりよくてヨカッタよなぁということなのかもしれませんが。
だけど…、「GCだけ」でだしたのはやはり失敗でしょう。ここまで大人雰囲気のゲームを、マリオとゼルダに並べても。。オススメもしづらい。GC買ってでもなんていえないし。イイモノに敏感で、おさえておきたい、投資を惜しまない人向けで。
マーケティングでの失敗を考えると、とても残念でかわいそうなゲームです。
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4は、他機種でもでるそうですね。感情的にシコリある人もいるでしょうが、作品のことを思うとその方がいいと思います。

ゲーム物語の限界

本作はハリウッド映画化されました。ミラ・ジョヴォヴィッチ。かなり面白いですね。まだ見てないですが2のジル役の人もカワイクてすっごく気になる。早く見たいです。
そして映画を見て思うのが、『バイオ』ってやっぱりいいネタだったんだな、ということと、映画の方が物語をしっかり収束してくれそうだということ。Umbrella(アンブレラ)社の謎を解体してくれー
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ゲームのお話って、小説やら映画と比べると幼かったり、支離滅裂だったりってのはあることだと思います。そんな中で、ゲームの物語に真剣に夢中になり、心うたれたものは、僕にとって本作と『ベイグラントストーリー』でした。そしてどちらもちゃんと話を閉じてくれてない(笑)。気になるじゃんよ! ちゃんと終わらせてスッキリ楽しませてくれよ、と。
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本作シリーズの場合はさらに、ゲーム作品に対するビジネス上の限界とみてもいいかもしれません。受け手の感情を満たすことよりも、金のこと考えてるみたい。悲しいのは、通常は作家がそれに耐え切れないはずで、物語の構造を美しく完成させたいもんだと思うのですが、その辺の意識が希薄なのか組織の中で難しいのか。
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そういう意味で、物語をきちんと収束できている、独立性のある作品としてきちんと完成されているのは、『ドラクエ』『ゼルダ』『メタルギア』シリーズあたりだと思います。やっぱこのへん作家の権限なのかしら。

凄み

PS版を含めた本作の凄みは、明快なコンセプトです。「恐怖」を演出し、「サバイバルホラー」と銘うった生き残りゲーム。これほど鋭い動機づけはありません。自分が操作する中で、誰だって死にたくはないし、生き残りたい。その先で謎を解き明かしたい。
さらに、物語を「File」というアイテムの中で、メッセージの形で見せる手法も画期的でした。プレイヤーが能動的に物語の断片を拾い歩き、興味が加速していくのです。
アクション性の楽しさはいうまでもありません。…少々不謹慎ですが、敵がゾンビであり、もとは人間であるというのも背徳的な興奮を促してるのではないでしょうか。まあ、洋ゲーではあっけらかんと「人間野郎を殺れ!」ってゲームあるけどね。
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最後に、本作は洋館を舞台にし、研究施設へと展開する構成です。適度なスケールに凝縮された世界は、プレイヤーにとって、表と裏を備えた小宇宙です。それを支える素晴らしい美術。
小宇宙の謎を解き明かしての脱出が目的ですが、例えればそれは箱庭を構築し俯瞰する喜びでもあります。ヒトの普遍的な感情に訴えている。
まぎれもなくゲームの表現枠を一回りも二回りもひろげた、名作だと思います。